大分県竹田市岡城レタス研究会代表 佐藤 正勝 さん

大分県竹田市岡城レタス研究会代表  佐藤 正勝 さん

九州でも有数な高冷地野菜の産地

竹田市は大分県の南西部に位置し、阿蘇外輪山、祖母山麓に囲まれ西は熊本県、南は宮崎県に接しています。また、山々から湧き出る湧水郡は全国的にも名水として知られ水と緑があふれる自然豊かな地域で、作曲家 瀧廉太郎が幼少の時期を過ごした地としても有名です。今回紹介する岡城レタス研究会は、海抜450~600mという冷涼かつ寒暖差のある気候を利用して春と秋のレタス、サニーレタスの栽培を行っています。
のどかな春の産地の風景

のどかな春の産地の風景

モスとの出会い

モスとの出会いは約10年前、モスは地産地消の観点から冬期以外に九州で調達できるレタスを探していました。そこで出会ったのが冷涼な気候が特徴の農業を行っている岡城レタス研究会です。しかし残念ながら当時はモスの求める野菜のレベルまであと一歩という所でした。どうやって美味しいレタスに変えていくか、いかに農薬を減らすか…。肥料の見直し、品種試験の開始、栽培資材の勉強など検討事項が山盛りとなりました。
収穫を待つレタス

収穫を待つレタス

恵まれた竹田の環境

地元の農家さんが言うには、竹田地域の土や環境は非常に恵まれていてどんな野菜の栽培もそれなりに出来てしまうそうです。しかし実はそれがとても危険・・・・。いろいろな障害があってもそのせいで隠れてしまい、作物への意識が散漫になってしまうからです。 そこで逆にその恵まれた環境をもっとよい方向に向かわせるように化学肥料一辺倒だったやり方を有機主体の方向へ大胆に切り換えました。当初は試行錯誤で大変でしたが「何となく病気が少なくなったかな?」、「この頃美味しくなったかな?」と変化に気付き始めたそうです。
また連作障害を防ぐために春はレタスを作って真夏はスイートコーン、そして秋にレタスと輪作を行うことにしました。恵まれた気候環境に栽培の工夫をプラスして段々良い方向に向かって行きました。
収穫されたレタス

収穫されたレタス

センターで品質チェック

センターで品質チェック

芯まで冷やすために真空予冷してから出荷します

芯まで冷やすために真空予冷してから出荷します

代表生産者佐藤正勝さん

「まず実際にやってみることが大切」と代表の佐藤正勝さんは言います。「保温する被覆材一つでこんなに違うんですよ」と綺麗に整備された畑でこれまでの被覆材の隣に2種類の資材を並べての比較テストを見せていただきました。「葉の大きさがこれだけ違います」とじっと見比べながらうなずいていました。長年の経験がありながら日々勉強を忘れないその姿勢にこれが確かな栽培技術を支えていると感じました。
「こんなに違うの?」被覆材の比較テストについて観察

「こんなに違うの?」被覆材の比較テストについて観察

岡城レタス研究会の課題

岡城レタスの課題は何ですか?と問い掛けたところ「潅水整備」と「バトンタッチ」という答えが返ってきました。今期はまともに雨が降っておらず、少ないところで平年の7%、多いところでも36%だそうです。水を大きな労力なく撒ける「潅水設備」は、昨今の激しい気象変動に対応するために必要になってくるとのことです。
また「バトンタッチ」という言葉は単純な後継者問題と連想してしまいがちですが、そういう意味ではありません。「次の候補はいるが慎重に、ゆっくりと組織は大きくしていきたいんです」と佐藤さんは言います。しっかりと理念や技術を伝えないと本当の事業継承ではない、こういった佐藤さんの想いを感じてうれしくなりました。
ベテラン農家の佐藤正勝さん

ベテラン農家の佐藤正勝さん

夫婦の力と会の結束

岡城レタス研究会にお邪魔するといつも気が付くことがあります、ご夫婦みんな仲が良い・・・それもそのはず、何でも“夫婦そろっての参加”がこの研究会の鉄則だそうです。どこに行くのも何をするも一緒とのこと。そんな結束はレタス研究会としてまたさらに大きな結束に繋がっているはずです。味の違い、品質の違いは栽培技術だけでは補完できないものだとあらためて感じます。
早朝からご夫婦での収穫

早朝からご夫婦での収穫

ご夫婦一緒にモスバーガーに訪店しました

ご夫婦一緒にモスバーガーに訪店しました

産地を離れる前に「おかしいレタスがあったらとにかく早く知らせてください。色々言われればその分だけ成長に繋がりますから」ととてもうれしい言葉を頂きました。
常に進化する意思をもった「岡城レタス研究会」のレタス、サニーレタスは6月中旬まで九州エリアの店舗に出荷いたします。是非その味を店舗でご賞味ください。
Text by Tomio