産地だより 2014年12月

2014年12月
千葉県富里市 テンアップファーム(にんじん)
農場担当 宇井 勝美さん

今回の産地だよりは、千葉県富里市での協力農家であるテンアップファームの宇井 勝美さんの、にんじん栽培にかける情熱をレポートします。
10月から全国販売をしている「こだわり野菜のにんじんサラダ」(さっぱり和風ドレッシング)で使われています。

宇井さんの農業にかける情熱とは?

宇井さんは千葉県で生まれ、周りを見渡しても農地だらけの土地で育ち、高校、大学とも農業関係の学校に入学し、大学卒業後の23歳で、森田商店(テンアップファームは、森田商店のブランド名)に入社しました。
入社当初は朝も早く大変だったそうですが、慣れてくると太陽が昇るとともに土と向き合うことが天性であると思ったそうです。
宇井さん曰く、「農業の基本は、食料を生産することですが、毎日の作業には「発見」と「驚き」と「感動」があり、自分が丹精込めて栽培したものをお客さまにお届けできることが、農業のすばらしいところです。」と話していました。
そして、一番大切なのは食べたお客さまに感動を与え、感謝され、喜ばれることが、宇井さんの農業にかける情熱を支えてくれているのです!!

収穫したばかりのにんじん

収穫したばかりのにんじん

にんじんの品種と特徴とは?

宇井さんに、栽培しているにんじんの品種と特徴について聞いてみました。
にんじんの品種は、テンアップファームの自社ブランド「あかい五寸」です。
特徴は、にんじんの成分であるカロテン糖度が他品種より高く、にんじん独特の臭みが少ないそうです。また、芯まで軟らかく子供にも好まれ、根色、芯色とも鮮やかで低温着色が良い品種とのことです。
栽培時期は、8月初旬が播種の適期になっており、播種後、90日位からが収穫可能時期です。この品種の特徴は、肥大が良く、にんじんらしい形状で、太り、尻つまりが良いところだそうです。
また、にんじんは、カロテン含量が高く、機能性が高い代表的な緑黄色野菜で、ミネラルや食物繊維も多く含まれています。
何と言っても「あかい五寸」の大きな特徴は、2等分にカットした断面が、上から下まで芯部分が赤いというこです。

上から下まで芯の赤いにんじん

上から下まで芯の赤いにんじん

採りたてのにんじんを食味

採りたてのにんじんを食味

にんじんの生育する環境その1

品種の次は、にんじんの生育する環境について聞いてみました。
日本では春と秋が生育適期で、特に夏まき秋冬採りの栽培が温度的に最も栽培しやすく、
冷涼な気候を好み、発芽温度は8~30℃とのことです。
35℃以上では発芽せず、低温下では発芽に日数を要し、11℃で20日、8℃では30日以上かかることから、生育適温 は18~21℃と話していました。
また、高温になると根の肥大が悪くなり、根形が崩れ、表皮が粗くなり、同時に葉の成長も鈍り、病気も多発し、低温下では根の肥大が悪く、3℃以下では肥大が停止するそうです。

順調に生育した、にんじん

順調に生育した、にんじん

にんじんの生育する環境その2

にんじんの生育する環境は、播種の時期と温度だけではありません。
土が有機質に富み、通気性があり、保水・排水がよく、潅水や強い雨の後、表土がかたくしまらない土質が適しているそうです。
土壌湿度は、発芽・根の伸長・肥大・品質・形状・色に大きく影響し、根の生育には土壌容水量70~80%が最もよく、茎葉の生育はこれより高い方が好適であり、湿度が高いと根部の肌が荒れ、極端な場合には根腐れを起こすこともあるそうです。
また、土壌が乾燥し過ぎると根の伸長、肥大が阻害され、色のつき方も悪く、岐根やひげ根が多くなり、水分が30%以下では生育せず、また水分が不規則に補給されると肌が粗くなると話していました。

管理の行き届いた、にんじんの圃場

管理の行き届いた、にんじんの圃場

にんじん栽培のこだわりと対策とは?

にんじん栽培のこだわりと対策としては、冬場に草の発生や除草効果また、植物性堆肥の増進を目的とした、緑肥(えん麦等)を使用した圃場作りを行っているそうです。
また、土壌の表面や耕盤が固い(ゴロゴロとした土や排水性の悪い土壌)と、品質の高いにんじんが出来ずらいとのことです。
そこで、テンアップファームさんとしては次の対策を行っているそうです。

①前年度のにんじん収穫が終了した後や緑肥を刈り採った後(3月~6月の間)に、圃場全体を耕盤破壊機(サブソイラー・プラウ等)で土壌を柔らかくする。

②トラクターを使用したロータリー作業を出来るだけ低速で作業し、通常のロータリー作業よりも回数を多くし、排水性を良くする。

③化成肥料だけではなく、有機質肥料や完熟性堆肥を使用する。

④除草剤は、自然環境や安全面等に配慮するために極力使用しないよう、人間の手作業で除草作業を行う。

⑤にんじんに対する安全面を考え、消毒等を慣行基準よりも極力控えめにした栽培管理を行い、作業者の安全面や他の作物にもかからないように低減する。

この対策が、テンアップファームの自社ブランドであるにんじん「あかい五寸」の美味しさの秘訣であると納得しました。
ただそれだけではなく、収穫後のにんじんは、モスバーガーの規格サイズに合わせるため、生産者さんが集まり、一本一本にんじんの形状や色目を確認し、重量の計量、そして箱詰めし、出荷しています。

にんじん掘り採り機(キャロベスター)

にんじん掘り採り機(キャロベスター)

モスバーガーの規格サイズを確認している生産者さん

モスバーガーの規格サイズを確認している生産者さん

にんじん栽培の苦労とは?

最後に、にんじん栽培の苦労について聞いてみました。
にんじんは、発芽で収量がきまる作物と言われています。
播種作業は慎重かつ丁寧に行わないといけない作業であり、真夏の時期にトラクターを使用して播種作業をするので、圃場の温度とトラクターの熱風が入り混じり非常に体力的にも厳しい状況となり、播種をするときはトラクターを真直ぐに運転していかなければ畝が曲がってしまい、収穫時に作業効率が悪くなるため、後のことを考えて作業をしているそうです。
播種終了後は、真夏の為、種を撒いただけでは発芽しないので、散水ホースで水やりを実施します。散水ホース自体が水を含むため非常に重く、ホースが目詰まりすることもあり、修理する時には服がビショビショになってしまいます。
また、地表面の温度が40℃に達するため圃場に水をいきわたらせるには、1反歩当たりの散水時間は約1~2日位かかります。
次に、にんじんが発芽すると最も大変な作業が除草作業であり、(にんじんは初期に除草剤を使用することができるとのこと)テンアップファームさんでは除草剤を使用せず、手作業で除草を行っています。
宇井さん曰く、「この苦労無しでは、美味しいいにんじんを栽培することはできないですよ」と話していました。

にんじんの生育状況を報告する宇井さん

にんじんの生育状況を報告する宇井さん

真直ぐな畝のにんじん圃場

真直ぐな畝のにんじん圃場

宇井さんからのメッセージ

宇井さんにモスバーガーのお客さまに向けて一言頂きました。
「今回、モスバーガーのお客さまに自社ブランドのにんじん(あかい五寸)をお届けできるようになりました。何といっても他の品種とは違い、臭みが少なく色が鮮やかであり、芯まで軟らかく食べやすく、にんじん嫌いな方でも食べやすく栄養豊富な人参です。
また、農薬等も慣行よりも少なく有機質肥料を豊富に含んだにんじんです。
私たちが毎日、誠心誠意、心を込めて作りあげた安心・安全な人参をお届けしたいと思います。一度食べたら忘れられない味なので是非、召し上がってください!!」
宇井さんが誠心誠意、心を込めて作り上げた自社ブランドにんじん「あかい五寸」は今が旬です!!是非、モスバーガーのお店でご賞味ください!!

宇井さん

宇井さん

Text by Osako