産地だより 2016年3月

2016年3月
沖縄県南城市
沖縄ファーム(レタス)
代表生産者 大城 茂博さん

那覇空港から車で30分、沖縄本島南部のほぼ真ん中あたりに位置する小さな丘が点在する場所に沖縄ファームはあります。
今年は、暖冬で暖かい日が続いていたと思ったら、大寒波が日本列島を襲い沖縄で雪が観測するなど例年にないほど気温差の激しい年です。
沖縄のレタスは大丈夫なのでしょうか?沖縄ファーム代表生産者の大城 茂博さんにお話をお伺いしました。

大城さんのレタス栽培のこだわりとは?

農業にとって基礎といえば土づくり。大城さんは、土づくりのため「緑肥」を行なっています。ソルゴーという緑肥用作物を栽培し、ある程度大きくなったらそのまま畑にすき込むのです。沖縄のように暖かい土地だと、土中の有機物はすぐに分解され地力がどんどん削がれます。こうやって定期的に有機物を補給して土が持つ力を維持しているそうです。
そして肥料は有機質肥料を含め2種類と、いたってシンプル。一見少なく感じますが、大城さん曰く、「肥料は少な過ぎるともちろん作物は育たないけど、多過ぎてもやっぱりダメ。肥料が多いと気温が高いときに葉先が枯れやすくなったりと悪影響が出てくる」とのこと。
今年は冬になっても暑いくらいの日が続いたこともあって、他のレタス産地ではこの葉先の枯れが大問題になったそうですが、大城さんの畑では軽微な症状で済んだそうです。
厳し過ぎず、甘やかさず、適度な肥料量が良質なレタスを育てているのですね。

レタスの圃場

レタスの圃場(1)

葉ものびのびと生育中

葉ものびのびと生育中

今年のレタスの出来は?

今年のレタスの出来はどうですかと聞いたところ、「今年は1月半ばまで暑いくらいの日が続いて、レタスの生育が進み過ぎた」とのこと。年末年始の需要に応えるべく植えていたレタスが、収穫時期が2週間も早まって、結局廃棄処分せざるを得なかったものも多かったそうです。

レタスの圃場

レタスの圃場(2)

順調に生育中のレタス

順調に生育中のレタス

寒波の影響は?

今年は、例年にないくらい気温が高かったですが、1月の寒波で、日本各地で大雪になったり沖縄でも雪が観測されるなど、急激に冷え込みました。沖縄のレタスは大丈夫だったのでしょうか?
「寒波がきて、沖縄も急に冷え込みましたが、寒さの影響はそれほどみられない。それよりも強風の影響の方が心配です」
寒波が来た際、レタスの葉がちぎれるほどの強風が吹き荒れたそうです。レタス畑に目を向けると、ところどころ枯れた下葉が見られます。
「やはり小玉になるのは避けられない。でも、モスさんの分はちゃんと確保しているから大丈夫」と大城さん。
厳しい天候と闘い続けながら、モスのためにレタスを出荷し続けている大城さん。脱帽です。

苗が風で飛ばされ、ところどころ隙間が空いた圃場

苗が風で飛ばされ、ところどころ隙間が空いた圃場

風で下葉が傷み枯死している

風で下葉が傷み枯死している

沖縄初!グローバルGAP取得

グローバルGAPとは、農産物生産における安全管理を向上させることにより、円滑な農産物取引環境の構築を図るとともに、農産物事故の低減をもたらすことを目的とした113か国が認証取得する世界的な認証のこと。このグローバルGAPを沖縄ファームが取得しました。しかも沖縄県で初の取得だそうです。
「提出書類がたくさんあって大変でしたが、なんとか取得しました」
近い将来、遠い外国で大城さんのレタスが食べられる日が来るかもしれませんね。
大城さん、お忙しい中ありがとうございました!

Text by Harumaki