産地だより 2017年8月

2017年8月
大阪府門真市沖町
中野農園(レッドキャベツスプラウト)
工場長 長尾 卓郎さん

今回の産地だよりは、大阪府門真市でレッドキャベツスプラウトを栽培している協力農家さんの中野農園さんをレポートします。
中野農園さんは、厳選された種子を使い、レッドキャベツスプラウトの栽培に欠かせない水の水質の確認を毎日実施し、従業員の衛生管理の確認など、自社での衛生管理基準を決めてスプラウトを栽培しています。さらに出荷まで徹底した温度管理をすることで、レッドキャベツスプラウトを新鮮な状態でモスバーガーのお店に届けていただいています。
それでは、安全・安心をモットーに!!そして愛情いっぱい、太陽いっぱいで育てられた中野農園さんのレッドキャベツスプラウトのレポートを開始します。

中野農園さんの取り組みについて

まずはじめに、有限会社 中野農園さんの取り組みについて、中野社長にお話を聞いてみました。

「中野農園ができたのは31年前、門真市の特産品であるレンコンをつくる農家として先代が立ち上げたのがスタートです。周辺の都市化が進み、耕作地の確保などが困難になったことからカイワレ大根の生産を始め、徐々に生産品目を拡大し今の形になりました。
カイワレなどの種から芽を出して若い芽のうちに食する野菜をスプラウトと呼ぶのですが、種から発芽したばかりの野菜にはこれから生長しようとするための栄養素やエネルギーがたくさん含まれています。野菜の赤ちゃんであるスプラウトはこれからもさらに注目される食材の一つです。
私は常々社員に対して「仕事だから」「言われたから」やるのではなく自分で考え、動いてほしい。それでいてみんなが楽しく笑っていられる職場であってほしいと考えています。
これからも中野農園ではスプラウトをお客さまに安心して、かつおいしく召し上がっていただけるように、全従業員が隔たりなく同じ想いで一丸となって取り組んでいます。」とスプラウトの栽培を通じて、従業員教育の大切さにつても熱く語っていただきました。
中野社長は「日本スプラウト協会」の会長も務めています。
次に、中野農園工場長の長尾さんと営業部の林さんにレッドキャベツスプラウトの栽培から出荷までの過程をレポートします。

中野農園さんのロゴマーク

中野農園さんのロゴマーク

中野農園社長の中野 剛さん

中野農園社長の中野 剛さん

一に検査、二に検査

検査の重要性について、営業部の林さんにお話を聞いてみました。

「安全、安心な製品をお届けするためには、種子や水質の検査も行っています。
種子がなければレッドキャベツスプラウトは栽培できません。すべての元になる種子の検査は何より大切です。種子が悪ければ出来上がるレッドキャベツスプラウトもよいものはどうやってもできません。中野農園で使用する種子は、主にアメリカ・イタリアで生産されている種子の中から厳選に厳選を重ね、よい商品ができる種子をしっかりと選んでいます。輸入・入荷する際にはすべて種子検査を行い、検査証明を取得し安心できる物を使用しています。
種子が大きくなるには、水も欠かせません。土を使わずにパルプを土台に生育する水耕栽培において水は命です。中野農園で栽培に使用する水は地下からくみ上げた井戸水をろ過して不純物を取り除き使用しています。使用している水が中野農園の安全基準に適した状態が保たれているか、1日3回のチェックを毎日実施し、基準範囲内であることを確認しています。」

使用する水の検査をする長尾工場長

使用する水の検査をする長尾工場長

出荷するレッドキャベツスプラウトを検品する林さん

出荷するレッドキャベツスプラウトを
検品する林さん

寝ている種を起こす「浸種」

引き続き営業部の林さんに「浸種」についてお話を聞いてみました。

「入荷する種子は乾燥したカラカラの状態で入荷します。水分が完全に飛んだ種子はいわば“寝ている状態”の種子、その種子に芽を出させるスイッチとなるのが水です。
とはいえ、ただ水につけてもカラカラの種子は水を吸ってくれません。吸う水の量が少なすぎても、吸わせすぎても出来上がるレッドキャベツの状態が悪くなってしまいます。種子ごとに、また季節ごとに水温・浸けておく時間が異なるので、その見極めはとても難しく、今でも試行錯誤の毎日です。
上手に浸種できた種からは、小さく小さく根っこが顔を出して種が元気に起きたことを教えてくれます。浸種・芽出しの作業がレッドキャベツスプラウトの良し悪しを決定させる重要な作業です。」

浸種

浸種

芽出し

芽出し

培地はキャンパス!播種はアート!

次は工場長の長尾さんに、レッドキャベツスプラウト栽培に必要不可欠な「培地」と「播種」について、お話を聞いてみました。

「スプラウトをつくる際に土台となる物を培地(ばいち)と言い、その培地に種を撒くことを播種(はしゅ)と言います。この播種という作業は機械を使って決まった量を均等に培地に撒かなくては美しいレッドキャベツスプラウトは完成しません。撒いた種から伸びていくのですから、重なっていたり、空間ができてしまっていると完成したスプラウトはスカスカだったり、重なり合ってきれいに育たなかったりします。美しいスプラウトをつくるためには機械で播種を行った後に一つ一つ手作業で調整を行わなくてはいけません。この作業はまさに培地という真っ白のキャンバスに種で美しい絵を描くアートのような作業です。」
また、長尾工場長いわく、「播種はアートですよ、絵を描くかの如く最後の仕上がりはアーティストがつくった芸術品だとイメージしながら調整を行って、少しでも美しく仕上げたいと思っています。」と、スプラウト栽培にかける思いが強く伝わってきました。

手作業で「播種」をする長尾工場長

手作業で「播種」をする長尾工場長

「播種」後

「播種」後

発芽室でまずは準備

次に「発芽」について、長尾工場長にお話を聞いてみました。

「播種が終わったレッドキャベツスプラウトは、そのまま温室ハウスに出すのではなく、発芽室に運ばれ20℃の定温管理された室内で、まだ根っこが少し出た状態で、レッドキャベツスプラウトが太陽光を浴びても大丈夫なところまで生長させます。季節によってどこまで生長させるかは変わりますが、室内で根がしっかりと伸びて葉がでるまでは、ゆっくりと育てます。生育過程で必ず確認しなければならないことは、全体が均一に伸びているかです。均等にきれいに種が撒いてあれば、この段階で全体が整っていますが、失敗するとバラバラに伸びてしまいます。残念ですがバラバラになってしまったレッドキャベツスプラウトは出荷できません。」と、「播種」がいかに大事な作業であり、レッドキャベツスプラウトの良し悪しを決定することがわかります。

発芽室

発芽室

発芽したレッドキャベツスプラウト

発芽したレッドキャベツスプラウト

いよいよハウスで生育

いよいよハウスでレッドキャベツスプラウトの「生育」です。
準備をしっかり行ったレッドキャベツスプラウトは、いよいよ温室ハウスへ。暗い発芽室から出されたレッドキャベツスプラウトは、光をいっぱい浴びてぐんぐん生長します。ここからはレッドキャベツスプラウトの持つ生長力が発揮され、ハウスに広げられた後、過ごすのは3日だけ!!一気に生長するのは、レッドキャベツスプラウトのもつ栄養価の高さを象徴しています。
営業部の林さんいわく、「みなさんは“真夏のハウス”と聞くとどんなイメージでしょうか?“うわぁ・・暑そう・・”ですよね。実際締め切られた真夏のハウスの中は、50℃を超えるようなことも珍しくありません。中野農園のハウスはよくあるビニールハウスとは少し違っていて、真夏でも温度はそんなに上がりません。気化熱を利用してハウス内を冷やすクーラーを使用しているので、むしろ外より涼しいくらいです。一定の温度で生育するので、年間を通して安定したレッドキャベツスプラウトを“生育”できます。」と、話してくれました。

ハウス内で栽培されているレッドキャベツスプラウト

ハウス内で栽培されている
レッドキャベツスプラウト

散水されているレッドキャベツスプラウト

散水されている
レッドキャベツスプラウト

従業員さんの腕の見せ所、検品・出荷

水と太陽の力で元気いっぱいに育ったレッドキャベツスプラウトは、いよいよ出荷に向けて収獲されます。収獲されたレッドキャベツスプラウトは、一度冷蔵庫で予冷をかけてから検品、パック詰め作業に移ります。ここまでチェックにチェックを重ねて生育してきたレッドキャベツスプラウトですが、ここでも万が一を考えて一つひとつをしっかり検品します。生長の悪い物、不揃いの物、中野農園さんが求める商品クオリティをきちんとクリアしているかどうかを厳しい目でチェックします。
基準を満たすものだけが「中野農園さんのレッドキャベツスプラウト」としてお客さまに届けられます。この検品業務はお客さまに安全・安心なメニューとしてお届けするための最重要ポイント。スピーディかつ慎重に従業員さんの熟練の技が光る作業です。パック詰めし、箱詰めした後、出荷まで冷蔵庫で保管されます。冷蔵庫で保管され、出荷を待つレッドキャベツスプラウトには、最後のチェック「ランダム検査」が待っています。これはレッドキャベツスプラウトの栽培に携わる人ではなく、営業部の林さんが、出荷のために準備されている製品をランダムに抜き取って開封して検査します。
よりお客さまに近い視点で、かつランダムにチェックすることが、栽培、検品する側の仕事への緊張感につながっています。冷蔵庫で保管したレッドキャベツスプラウトは、モスバーガーの各店舗に向けて出荷されています。

パック詰め作業その1

パック詰め作業その1

パック詰め作業その2

パック詰め作業その2

中野農園さんからのメッセージ

中野農園さんにモスバーガーのお客さまに向けて一言いただきました。

「安心して召しあがっていただけるおいしいスプラウトをつくりたい。お客さまが喜んでくれる商品をつくりたい。私たちの想いは一つです。まさにモスバーガーさんの考えるモスの想いと同じで、丹精込めたスプラウトがこうしてモスバーガーのメニューで召しあがっていただけることは何よりの幸せです!!従業員全員が、毎日レッドキャベツスプラウトと向き合いながら愛情を込めて栽培をしていますので、ぜひ、モスバーガーのお店で“こだわり野菜のサラダ”をお召しあがりください!!」

中野農園の皆さん

中野農園の皆さん

Text by Osako