産地だより 2018年5月

長崎県南島原市 ながさき南部生産組合(玉ねぎ) 代表生産者 永池 充宏さん

2018年5月
長崎県南島原市
ながさき南部生産組合(玉ねぎ)
代表生産者 永池 充宏さん

今回の産地だよりは、モスバーガーとは20年以上にわたって、玉ねぎ、トマト、レタスなどの協力産地として取り組みを続けている「ながさき南部生産組合」の新玉ねぎについてリポートをします。

ながさき南部生産組合とは

1975年に、5名の青年農業者が有機農業と産直販売を目指して発足。島原半島一帯に組合員120名を抱える農事組合法人です。長年にわたって続けられてきた、農薬、化学肥料に頼った形の近代農業をもう一度見直し、消費者の皆さんに安全・安心な食べ物を供給するために、生態系を重視した農業を実践している組織です。
モスバーガーとの出会いは1997年。モスが、生産者の顔が見える、安全・安心な野菜を全店で使用しようという取り組みを開始した当初からの長いお付き合いになっています。

ながさき南部生産組合の本部

ながさき南部生産組合の本部

玉ねぎの選果場

玉ねぎの選果場

こだわりの玉ねぎ

ながさき南部生産組合では、現在、21名の生産者にて、約41haの玉ねぎが生産されています。モスバーガーでは、4月から6月頃までの間、いわゆる「新玉ねぎ」のシーズンに、関東、中京、関西地区などの全国のお店に出荷されています。
農薬、化学肥料(窒素成分)を、長崎県の慣行栽培の50%以下とする、特別栽培にて管理、除草剤は一切使用しない。など、とても手が掛かる栽培方法により、モスバーガーに届けられています。選果場でも農家の奥さん方が、一つひとつ、手選別で仕分けをされていました。「大切に使わせていただかなくては…」とあらためて感じました。

ひとつひとつ目視確認していきます

ひとつひとつ目視確認していきます

雲仙岳を望む永池さんの畑

雲仙岳を望む永池さんの畑

永池さんご紹介

今回の主役、永池さんは今年で61歳。ながさき南部生産組合では、元理事も務められた方です。今は、徐々に若手に世代交代を図っている組合を、暖かくも、厳しい目で見守っている、組合のご意見番的な存在です。
南島原市の代々の農家の家に生まれた永池さん。地元の農業高校を卒業後、すぐに就農。しばらくは、地元の他の組合や市場への出荷を行っていたそうです。ながさき南部生産組合に加入したのは約30年前、創設者の近藤一海さんの『生産者の顔の見える取り組みを、産地直送取引、契約栽培でやるべきだ。栽培方法も食味も、もっとこだわらなくては』という理念に共鳴したのがきっかけだったそうです。「昭和50年代は、公害問題や輸入農産物の増加による国内産地の衰退など、国民の食に対する関心が高まった時期だったんですね。いまでこそ当たり前ですが、当時、顔の見える農産物というのは珍しい存在だったんですよ。」

モススタッフに説明する永池さん

モススタッフに説明する永池さん

玉ねぎの収穫作業

玉ねぎの収穫作業

栽培のこだわり

現在は、奥様、息子さん夫婦、パートさんと6名で3.6haの畑を管理されているそうです。毎年、9月上旬に玉ねぎのタネを撒いて、10月下旬から12月いっぱいはできた苗の植え付けです。同時進行で、8月から畑に堆肥、石灰などを入れて耕耘、ビニールマルチを張るなどの畑の準備を行っているそうです。玉ねぎ以外にも、カボチャ、ブロッコリーと、一年中何かしらの農作業には追われるという忙しい毎日を送られています。
永池さんに栽培のこだわりを聞いたところ、ふと、足元の雑草に目をやりました。「この雑草、すごいでしょう。雑草を抑えるためにビニールマルチを張っているんだけど、ほんの少しの隙間からでも雑草は生えてきます。ながさき南部生産組合では除草剤を使わないルールになっています。すべて、手で草取りをします。なるべく環境に負荷をかけない農業への取り組みは続けていきたいですね。」と永池さんは言います。
組合としての曲げられない思いを、モスもしっかりと受け止めたいと考えます。

雑草との戦いです

雑草との戦いです

寒さの影響で、今年は少し小ぶりです

寒さの影響で、今年は少し小ぶりです

今年は不作?

永池さんには、玉ねぎの生産者として20年の経験があるそうです。ベテラン農家の永池さんでも、今年の玉ねぎ栽培は苦戦を強いられたそうです。
「今年の玉ねぎは小ぶりで苦労しています。昨年中の気候はよかったのですが、年明けから1~2月は、ずっと平年以下の気温が続きました。朝方にマイナス3~4℃くらいまで冷え込む日もありました。ここまで冷えると、どうしても生育が遅れます。」
「3月から気温が回復しましたが、一転、平年を上回る高温が続きました。玉ねぎが軟弱に生長してしまい、そこに病気が入ってしまったのです。私の畑でも例年より20%くらい収穫量が落ちました。出荷開始も例年より10日くらい遅れましたね。」永池さんが苦労をした分、モスのスタッフが畑でかじった生の玉ねぎも格別においしく感じました。

モススタッフと玉ねぎの味を確認

モススタッフと玉ねぎの味を確認

おいしい玉ねぎをお届けします!

おいしい玉ねぎをお届けします!

次の世代へ

永池さんに、南島原地域全体の農業の展望についても聞いてみました。
「南島原は、人口減少が大きな問題の一つになってるんですよ。担い手不足、高齢化、少子化は間違いのない事実ですが、この地域は、まだまだ農業が盛んだと思います。畑の基盤整備をして、農業機械を入りやすくするようにするなど、まだまだ地域の発展のためにやれることはたくさんあると思いますよ。」
若い世代が組合を引っ張りはじめていますが?
「私たちの子どもの世代が、農家を継いで、ながさき南部生産組合を盛り上げているのを見ていると、自分たちがやってきたことが間違っていなかった。価値のあることだったのだと思いますね。」と永池さんは言います。

永池さんからのメッセージ

最後に、永池さんから一言いただきました。
「モスバーガーさんには、今までどおり野菜へのこだわりは変えないで、よりよい商品をお客さまに届けてほしいです。玉ねぎスライスのサラダとかもやってほしいですね。これからも、おいしい玉ねぎを頑張っていっぱい作りますので、皆さん、たくさん食べに来てください。」

Text by Sato